紫禁城の額
質問 紫禁城の建物の正面にかけられている額であるが、どこがちがっているでしょうか？
答え 上の二つ（紫禁城の外朝である太和殿・中和殿）と左下（紫禁城の外朝である保和殿）は、それぞれの建造物の正面にある額である。外朝三殿の額は漢字だけで書かれている。右下の乾清宮（内廷）の額は漢字と満州文字が書かれている。
その理由 これは、辛亥革命と袁世凱の歴史に関係してきます。
清の支配者は満州人であり、満州文字を使用していた。その満州人が清を建国し、中国を支配するに当たって、漢民族の王朝である明の宮殿を引き続き使うことになった。清（満州人）は紫禁城の建造物の呼称を改名すると同時に満州文字と漢字を併用したのである。
ところが、１９１１年に辛亥革命が起こり、清王朝は打倒される。漢民族による中国が復活したのである。その後、中華民国臨時大総統の孫文からその地位を奪った袁世凱は、１９１５年１２月１２日帝政を宣言し、自分が帝位につくことになった。その際、満州人の王朝だった清に変わり、漢民族の王朝を建てたということを強調する意味で漢字のみに書き換えさせたのである。
では、なぜ外朝の三殿のみが漢字なのか？
それは、袁世凱の独裁は内外から批判され、三ヶ月も持たずに袁世凱の帝政は取り消された。その時間の短さで、外朝以外の建物の額まで書き換えができなかった、というのが理由のようである。