新年のご挨拶
２０１１年１月１日
| 昨年末に訪れたメキシコ旅行の余韻がまだ残っている。遺跡巡りが良かったのはもちろんであるが、それを忘れさせるかのような思わぬ体験が現時点ではより強烈である。飛行機に乗り遅れることで起こった思わぬ出来事（地球一周）がメキシコに対して強烈な印象を刻みつけているのである。 そのいきさつを整理してみよう。 今回の旅行は添乗員一人と参加者１２名の合計１３名である。メキシコ旅行の最終日、カンクンからメキシコシティへ戻り、そこから成田へと飛ぶ予定であった。ところが、搭乗予定のＡＭ９４４便（１７：３５カンクン発 → ２０：０５メキシコシティ着）が大幅遅延ということで、ツアー参加者の計１３名は前後二つの便に分けられ、別々にメキシコシティ空港に向かうことになった。この時点で団体ツアーの常識から大きくかけ離れた。しかし、これはまだ始まりに過ぎなかった。 ９人の先発隊が１５：４０発の便に、後発隊は添乗員と私を含めた男性一人参加者３人を合わせた計４人で１７：５５発の便に乗り込んだ。後発隊の便は定時に飛んでもメキシコシティ空港での乗り継ぎにはぎりぎりの感じだ。ところが、その便が機材トラブルで１時間半ほど遅延したのだ。私たちの飛行機がメキシコシティ空港に着いた時点で成田行きの便は出発時間を過ぎている。 しかし、カンクンで成田行きも同時に発券されているから、当然私たちの到着まで待っていてくれるだろうと思っていた。ところが、それは大間違いだった。成田行きのアエロメヒコ航空機は定時に出発していたのである。 こうして、先発隊は２１：３５発の成田行きに乗ることができたが、私たち４人はメキシコシティ空港に取り残されたのである。 さあ、これからが大変だ。別の帰国方法を考えなければならない。この日は、私たちの便だけでなく、接続ミスが多かったらしく、深夜のアエロメヒコ航空のカウンターには長い行列ができている。これから４人が帰る便を探さなければならない。 ４人は行列に並んだ。２時間以上並んだ結果、パリ経由の便が空いていることがわかった。（２日後でいいならアエロメヒコ航空の成田行きに空席があるが）どうせなら、私ともう一人は関西空港への帰国を望み、もう二人は成田への帰国を望んだ。その結果、パリからは成田行きと関西空港行きのエールフランス航空の２便に分かれて席を確保した。その後、４人はポツンと残された４個の荷物を引き上げ、空港近くのホテルに向かった。午前１時を過ぎていた。 翌朝１１時には再びメキシコシティ空港にやってきた。１４：３５発のパリ行きのアエロメヒコ航空機に乗るためである。ところが、電光掲示板には４時間のディレイとの案内が出ている。これでパリでの乗り継ぎもぎりぎりとなることになり、パリでもまた置いてきぼりにされる不安がよぎる。 空港での待ち時間があまりにも長いので、私はベンチに座り、旅日記風の感想を書いていた。すると、メキシコ人の母子がたまたま私の隣に座り、私が書いている日本語に興味を示した。そして、お母さんは「娘の名前はマリエルというの。この紙にマリエルと日本語で書いてみて」と言ってきた。私は少し考えて「真理恵留」と書いてあげた。すると、お母さんはその文字をしげしげと眺めながら、何だか不思議そうな顔をしていた。こんな些細な出来事が、空港での長い待ち時間をもてあます私にとって、ほっとする瞬間であった。 親子の笑顔が良かったので、記念に写真を撮らせてもらいました。 （参照）【世界の笑顔：メキシコ編】 パリでの乗り継ぎはやっとのことで間に合った。アエロメヒコ機からの降り際に機内で私たちの名前が呼び出されるほどぎりぎりであった。 こうして、予定より丸一日遅れてなんとか帰国することができた。 考えてみれば、行きは日本から太平洋を飛び越えメキシコへ（約１３時間）、帰りはメキシコから大西洋を飛び越えパリへ（約１０時間）、パリからユーラシア大陸を横断し日本へ（約１２時間）と地球一周したことになる。メキシコ旅行でまさか地球一周するとは思わなかった。 メキシコ旅行は遺跡巡りは良かったし、添乗員、ツアーメンバー１２人も紳士淑女の旅慣れた方ばかりで恵まれていただけに、最後の地球一周の長旅だけが体に応えた。 わずか４，５日ほど前のことなのに、早くも懐かしい思い出のように感じる。初めての地球一周、初めての機内放送での呼び出し、・・・。こんな経験をすれば二度と海外旅行などしたくなくなるのでは、と想像される方もいるかもしれない。 しかし、私はその予想に反して、これに全く懲りていない。それどころか、こんな経験をしたからこそ、アルゼンチンやブラジルでさえそれほど遠いようには感じなくなった。インドや中東あたりなら近すぎる感じである。今回の出来事は「どんな長旅でも大丈夫」になるための予防注射を打ってくれたようなもので、良い経験をさせてもらったと考えよう。（笑） しかし、いくつかの教訓めいたものを感じた。 １ 人生には思いがけないことが起こるものである。 ２ そんなときは慌ててもどうにもならない。苦難のなかでも癒しを見つけるべきである。 （空港での母子の笑顔） ３ しかし、旅行には余裕日を考えなくてはいけない。今回も最悪２日遅れの可能性があった。帰国予定日から２日程度の余裕をもって計画したほうが良さそうである。 遺跡巡りそのものについては満足したので、これからＨＰを更新するなかで旅の疲れは癒されてくるものと思っています。 性懲りもなく、これからもマイペースで「ハシムの世界史への旅」は続けていこうと思っています。皆さん、これからもよろしくお願いします。 最後に、今回の１２名の旅仲間の皆さん、またいつかどこかで偶然の出会いがあれば、そのときはまた楽しみましょう！ |