聖ワシーリー聖堂
| ロシアホテルの前より撮影。聖ワシーリー聖堂はイヴァン４世＝雷帝（在位1533〜1584 ツァーリとしては1547〜1584）により、カザン・ハン国征服の記念に建てられた。（カザン・ハン国征服の重要な意味については旅行記記載の文章を参照してください。）アンリ・トロワイヤ著『イヴァン雷帝』（工藤庸子訳・中公文庫）によると、「建築はほかにまったく例のないようなもの、神秘的な喜悦、ほとばしる歓喜、形と色彩の饗宴」をめざして造られたそうだ。設計者としてはまず、イタリアの建築家が候補にあがったらしいが、ロシアの勝利を象徴する建物だから、ロシア人が良いだろうということになった。そこで、ポストニクとバルマの二人に白羽の矢が当たった。イヴァン雷帝はできあがった聖堂のあまりの美しさに感動し、二度とこれほどの美しい建物ができないようにと、設計者二人の目をくり抜いてしまったとのことである。しかし、この逸話については、アンリ・トロワイヤも真偽のほどは定かではないと言っている。工事には６年を要し、その費用は賠償金という名目でカザンの住民から取りたてられたという。１５５５年に着工され、１５６０年に完成した。 なお、この写真の中央よりやや左にある、時計のついた建物はクレムリンのスパスカヤ塔であり、聖ワシーリー聖堂とは関係ない。聖ワシーリー聖堂は赤の広場の南側に位置し、この写真では聖堂の裏側が赤の広場となっている。 （クレムリンの地図参照） |