大韓民国 ソウル ： 西大門刑務所歴史館で出会った女子大生の笑顔
| 西大門刑務所といえば、日本が韓国を統治していた時代に、日本が多くの韓国人を閉じこめ、拷問を加えていた場所として有名です。私はこの歴史館の見学を終え、館から出た所で、思わぬ笑顔に遭遇しました。日本人の私に素晴らしい笑顔をプレゼントしてくれた韓国人女子大生がいたのでした。その笑顔で館内の重苦しい空気が吹っ飛んでしまいました。そのいきさつを少し紹介しましょう。 ５月５日は韓国でも「こどもの日」です。この日、西大門刑務所歴史館の敷地でブックフェスティバルが開かれていました。それは政治的・思想的なものではなく、子どもの絵本関係が多かったようです。この二人はそのイベント案内人のようでした。 左の女の子がチマ・チョゴリを着ていたので、私は「あなたのチマ・チョゴリの写真を撮りたい」と英語でお願いしました。すると、笑顔でＯＫしてくれました。（下の写真がそうです。） すると、右の女の子から「あなたは日本人ですか？」と、逆に日本語で聞かれました。私は、この刑務所での出来事について何か詰問されるのではないかと一瞬身構えながら、「はい、日本人ですよ。」と答えました。すると彼女は明るい笑顔で、「私、日本語を勉強してます。大学で勉強しています。日本に３度行ったことがありますよ」と話してくれました。 最後には、日本語で「これからも良い旅を続けてください」という言葉をもらいました。こちらからは、「カムサハムニダ（ありがとう）」と韓国語で言いました。すると、彼女はこの写真よりもずっとずっとうれしそうな明るい笑顔を私に投げかけてくれたのです。私は何だか暖かい気分で、この忌まわしいはずの西大門刑務所を去ることができたのでした。 もし、こんなささやかな出会いがなかったとしたら、刑務所内での残虐な拷問体験シーンやテープから流されている阿鼻叫喚の叫び声が頭の隅に残り、嫌な気分でこの場を去っていたかもしれません。 しかし、もはや、そんな過去の怨念などにとらわれていないかのような若者に出会い、今やそんなに身構えしなくてもいいのだと思えました。 そして、何ら実体のない観念のとりことなって、反日感情やら、その裏返しとしての反朝鮮（韓国）感情に捕らわれることの愚かさについて考えさせられました。凝り固まった理念や思想から現実を見るのではなく、現実の人間一人一人を見てから物事を判断しなければならないことの大切さを再確認させられたのでした。 こんな経験があっただけでも、今回の韓国旅行はとても有意義なものとなりました。 |
| チマ・チョゴリ姿の女子大生。もちろん、街中では、もはやチマ・チョゴリを見かけることはできません。イベント会場ならではのことでしょう。 後ろの入り口は西大門刑務所歴史館の入り口です。この中では独房や死刑台やらを見ることができ、実物大の人形を使った拷問の疑似体験ができます。彼女もきっとこの中に入ったことがあるとは思いますが、日本人の私に屈託のない笑顔で接してくれました。 （参照）関連の旅行記 |