ヘミングウェイ博物館

ヘミングウェイ博物館は、ハバナ市街の南郊外、ちょっとした高台にあります。旧市街からだと車で３０分もかかりません。まわりは昔からの住宅街といった感じです。

広い敷地のなかにヘミングウェイのかつての邸宅があります。ここで２０年間（1940～1960）住んでいました。ヘミングウェイは1959年のキューバ革命後にアメリカに帰国し、主を無くした邸宅は今は博物館になっています。

ヘミングウェイ博物館は独特の観覧の仕方です。建物の中には入れないのです。窓から覗くようになっています。建物の回りをぐるりとまわって各部屋の中を覗いていきます。

「キューバに住む一番の理由は、家から美しい田園地帯を抜け、車で３０分ほど行くと、、そこには深く大きな潮流があり、深さ１．２㎞から１．５㎞、幅は１００㎞から１３０㎞ほどで、正常に流れていれば、私が知る限りでは最高の釣り場だからだ。」ヘミングウェイの手記より
（参考文献）『キューバ革命と情熱の詩 (地球の歩き方GEM STONE)』p.32

ヘミングウェイは、第二次世界大戦では従軍記者としてヨーロッパで働いていたこともあります。そのときの服も残されています。

「島の自分の家を目にするたびに、きまって深い歓びを覚えた。船に対する思いと同様、この家を〈女性〉のように思っていた。」遺作『海流のなかの島々』より
（参考文献）『キューバ革命と情熱の詩 (地球の歩き方GEM STONE)』p.38

邸宅の脇に塔が立っています。その最上階に部屋があって、望遠鏡なども置かれています。ヘミングウェイの仕事部屋のひとつだったようです。

今は博物館になっているこの旧ヘミングウェイ邸は「フィンカ・ビヒア」と呼ばれています。眺望楼という意味のようです。ここがまさにそうで、周囲の鬱蒼とした森の向こうにかすかにハバナの街並みを眺めることができます。

ヘミングウェイはこの船「ビラール号」でコヒマルの海へ出かけ、カジキマグロなどを釣っていました。

ヘミングウェイは、1954年にノーベル文学賞を取りましたが、キューバ革命後の1960年、アメリカ合衆国に帰国。なぜか、その翌年（1961年）、ピストルで自殺してしまいました。
ヘミングウェイにとっては、このキューバ時代が最も幸せな時代であったようです。