露天掘りの撫順炭鉱
| 瀋陽空港からいきなり撫順にやってきました。車でおよそ１時間です。撫順炭鉱は露天掘りの炭鉱として日本統治時代から有名でした。最深部は地表から２８０メートルだそうです。撫順炭鉱は日露戦争後にロシアからその経営権を引き継ぎ、満鉄がこれを経営していたのです。しかし、もう掘り尽くされてしてしまったのでしょうか。現在ではそれほど多くの石炭を産出していないようです。そして、現地ガイドさんは言ってました。もう少しすると、この地は遊園地に生まれ変わるだろうと。本当にそんな計画があるんでしょうかね？ ちなみに、撫順炭鉱の写真はこの角度でしか撮れないようで、どなたの写真もこれと似たようなものです。そんな写真を見ると、ああ、あそこから写してるなと想像してしまいます。ただ、この日は天気が曇りで霧が少しあって、視界が悪かったのが残念でした。 現地ガイドさんが撫順で他にどこか行きたいところはないかと聞いてきたので、私は平頂山に行きたいと言いました。すると、ガイドは他のお客さんの様子をうかがいながら、それは勘弁してくれと小声で言いました。以前、何人かの要望があって行ったところ、それ以外のお客から苦情を言われたそうです。楽しい旅行にしたいのに、そんな昔の残虐な場面を見せるとは何事かと・・・。そして、お客同士が険悪な雰囲気にもなったようです。そんなわけで、やはり、そういう所は一般的なツアーでは行けないようです。 【平頂山事件というのは、日本軍による村民虐殺事件です。この撫順炭鉱にも深い関係があります。その事件は１９３２年９月１６日に起こりました。当時、日本が「満州国」支配下の撫順炭鉱を経営していました。前日の９月１５日に抗日ゲリラが撫順炭鉱を襲撃しました。これに対する報復として、日本軍は撫順郊外の平頂山村民を大量虐殺したと言われています。中国側の主張によると、およそ３０００人が虐殺されたとのことです。】 時間がかなりあるので、他に行きたい所をさらに尋ねてきました。それで、私は九・一八記念館に行って欲しいと言いました。それは瀋陽のホテルへの帰り道にあるので、中には入れないが、立ち寄ることはＯＫだと言ってくれました。 やはり、中国東北はいまだに旧日本軍による痕跡が色濃く残っています。日中戦争が終わってもう、６０年。それ以上前の出来事が、いまだに日本と中国との間を、また、日本人同士を引き裂く傷として残っているようです。完全に癒えるのはいつのことでしょうか。このように、戦争は後々まで大きな負の遺産を残してしまいます。 全世界の至る所を気持ちよく訪れたい・・・・一旅行者の素朴な願いです。そんなことが、実現できる世界になってほしいものです。 |
