| あらすじ |
| 旅順を陥落させた乃木軍は北進しなければならない。満州軍総司令部の児玉源太郎は乃木軍を必要としていた。児玉は全軍をあげての奉天会戦を計画していたのである。 １月１１日、ステッセルは旅順を去った。１３日、乃木軍は旅順で入城式を行った。１４日、水師営南方の丘で招魂祭を行った。外国の観戦武官や見物の中国人までが涙した。１５日、乃木軍の人事が発表され、乃木以外のほとんどの参謀が交替させられた。旅順攻撃の作戦の責任を問われたものであった。 乃木軍は北の遼陽に急行している。１月２６日、乃木ら第三軍司令部は満州軍総司令部のある煙台に到着した。乃木軍は遼陽に司令部を置いたが、部隊の多くは徒歩行軍のため、まだ到着していない。時あたかも、黒溝台へのロシア軍の進出が始まろうとしていた時である。残念ながら、乃木軍は黒溝台の会戦には間に合わなかった。しかし、この後１０日ばかりで乃木軍は遼陽に集結できた。満州が凍っていたことが幸いした。道路が凍っていて固いし、川も凍っていて橋も船も不要で、氷の上を通っていけたのである。 |
| 心に残った言葉 |
| 「日本兵の最大の特徴は、軍紀の厳正なることにある」 「ロシア兵はそうではない。ひどいのになると、軍紀がいかなるものであるかということさえ解しない者がいる。これが、ロシア兵をしてその体力がまさっているにもかかわらず、日本兵のためにいたるところで敗退させられた主たる因である」 （p.252 フォーク少将の言葉） |