安重根義士記念館
| ソウル市中心部の南にある南山（ナムサン）一帯に南山公園が広がっています。南山公園中腹に安重根義士記念館があります。私は南大門から３０分ほど歩いてここまでやってきました。 安重根（アンジュングン）は韓国の英雄です。韓国で安重根を知らない人っているのでしょうかね？しかし、日本ではあまり知られていません。高校の時にでも日本史を一生懸命習った人でなければ知らないのが普通かもしれません。 安重根は、日本の初代総理大臣で有名な伊藤博文を暗殺した人物なのです。伊藤博文は安重根によって旧満州地方のハルピン駅で射殺されました（1909年10月26日）。 |
| 記念館のすぐ脇に、韓国語、日本語、中国語で書かれた案内看板があります。その日本語の部分を上に掲載しています。 どうでもいいですが、間違い、発見！ ３行目 「建立されした」→「建立されました」 ４行目 「思ろ心」→「思う心」 この種の日本語の間違い、韓国でしばしば見かけます。 （軽い場面なら笑いを誘ってくれてありがたいのですが、こういった厳しい場面ではできたら直しておいてほしいですね！） |
安重根記念館の正面入り口
| ３月２６日は安重根の命日です。安重根は伊藤博文暗殺直後に捕らえられ、素早く行われた日本による裁判の結果、旅順の監獄で絞首刑にされました。（1910年3月26日）。 看板左側に安重根の手形があります。薬指が小指と同じ長さになっていますね。血判書を書くため薬指を切断したためとされています。 「伊藤狙撃を数ヶ月前から計画した同志１１人とともに、指を切断することによってその決意のほどを確かめあったからです。」 （参考文献）『韓国修学旅行ハンドブック』（平和・国際教育研究会）p.26 安重根はキリスト教徒です。そいうえば、三・一独立運動の「韓国のジャンヌダルク」柳寛順もキリスト教徒でした。また、三・一独立運動の独立宣言文の署名者３３人の内、１６人がキリスト教徒でしたね。キリスト教徒が反日運動で果たした役割は大きそうです。 ところで、伊藤博文は何故殺されなければならなかったのでしょう？ 年表を見るだけで一応の説明はできます。１９０５年の第二次日韓協約のあと、日本が韓国を支配するために韓国統監府が設けられました（1906〜1910）。伊藤は初代韓国統監に就任したのです（1906〜1909）。いわば韓国支配の総責任者というわけです。（参考年表） |
館内の展示物から
（１）安重根の言い分
| 安重根のお母さんもキリスト教徒だったようです。そして、「正しい事をして受ける刑だから卑怯に生を求めず大義に死ぬことが母に対する孝行である」と言います。この母親にしてこの息子あり、という感じです。一本筋が通っています。 世間をお騒がせしてすみません、などという日本的な母親とはレベルが違います。もちろん、この事件は怨恨レベルの私的な事件ではなく、「祖国の独立と東洋平和のために行った」という社会的な性質を母子ともに実感し、それを広く韓国社会が共感できるからこそ、こういった記念館も建つのでしょうが。 安重根自身は伊藤博文暗殺を「韓国独立戦争の一部」だと捉えています。万国公法により捕虜として扱うことを願っているようです。 |
（２）旅順駅
（３）ハルピン駅での安重根による伊藤博文狙撃の瞬間（想像図）
| この写真を見て、はるか昔の全く別の事件を思い出しました。朴正煕（パク・チョンヒ）大統領（在任1963〜1979）も至近距離から射殺されました。しかも、奇しくも同じ日でしたね。１０月２６日。偶然の一致でしょうかね？？？ |
（４）安重根 と ピストル
| 【左】安重根義士 【右】安重根之遺物とあるが、この鉄砲で伊藤を撃ったのだろうか？ |
南山公園 と ソウルタワー
| 安重根義士記念館は南山公園（ナムサンコンウォン）の一角にあります。噴水の向こうにソウルタワー（南山タワー）も見えています。５月５日のこどもの日のためでしょうか、親子ずれで賑わっていました。安重根義士記念館にはほとんど入館者はいませんでした。３０分間ほどで４，５人に会っただけです。 安重根は、現在では韓国においてすら、崇めたてまつる人物ではなくなっているのかな？あまりにも寂しすぎる館内でした。でも、こんな天気の良い日には外で公園散策を楽しむ方が気分が良いことでしょう。きっと、それが自然なことでしょうね。 |