孫中山故居

　孫中山というよりも、「孫文」といったほうが日本では有名かもしれません。「中国革命の父」として紹介される場合が多いようです。
　孫文（孫中山）は１９１８年から１９２４年までここに住んでいました（孫文は１９２５年に北京で客死します）。孫文の妻、宋慶齢は１９３７年までここに住んでいました。

　アグネス・スメドレー旧居から西に３００メートルほどの所にあります。１戸建ての邸宅です。往年の上海での住居は長屋風の建物（一大会址や大韓民国臨時政府旧址）、マンション風の建物（アグネス・スメドレー旧居）、そして、１戸建て風の建物（孫中山故居）の３種類があるように思いました。　

※　孫中山故居は「愛国主義教育基地」に指定されています。
所在地：　香山路７号　　入場料：８元

孫文（孫中山）　年譜
１８６６年　広東省の香山県（現在の中山県）に生まれる。
１８９４年　日清戦争起こる。１８９５年、日清戦争で日本が勝利、台湾・遼東半島などを得る。
遼東半島は三国干渉で返還するが、南進論（台湾からさらに南の方へ）と北進論（中国東北へ）との分裂・対立の素地、体質が日本軍部のなかで生まれる。
１８９４年　ハワイで興中会を結成
１９０５年　日本に亡命。東京で中国同盟会を結成。
　　　　　 　三民主義（民族主義・民権主義・民生主義）を唱える。
１９１１年　辛亥革命、中国に帰国
１９１２年　中華民国の臨時大総統に就任、臨時大総統を辞任（袁世凱が大総統に）
１９１３年　日本に亡命
１９１５年　日本、対華二十一箇条の要求。中国は受諾（5月9日）
１９１５年　宋慶齢と日本で結婚（10月25日）
１９１６年　中国へ帰国
１９１９年　五・四運動起こる（5月4日）
１９１９年　中国国民党結成
１９２４年　「連ソ・容共・扶助工農」を唱え、第一次国共合作を成立させる。
１９２４年　北京へ赴く途中、神戸を訪れ、県立神戸高等女学校で講演。
１９２５年　北京で客死。「革命、未だならず」
　　　　　　 現在、南京の中山陵に埋葬されている。

　１９２４年１２月２８日、孫文は北京へ赴く途中、神戸で講演を行いました。それについて、ちょうど５０年後の１９７４年、司馬遼太郎さんは陳舜臣さんとの対談でこんな発言をしています。
　（参考文献）　『対談　中国を考える』　p.109　司馬遼太郎、陳舜臣　文春文庫

　「日本はアジアの一員としてやるか、それとも白人帝国主義の番犬になっていくのか、今は分かれ道だ。孫文という人は非常に気の優しい人ですから、日本に対して恫喝しているんじゃなくて、好意をもって日本の運命はこれで決まるぞといってるんですね。孫文はすでに弱き中国の、弱き代表ではないわけですよ。もう革命の成功を目前にしていたし、同時に世界人の立場から、日本はどうするんだ、このままいったらつぶれるぞということを、言葉はつよいけれどもほんとうに日本のために言ってるんですね。」
　
　１９２４年の孫文、１９７４年の司馬・・・・さすが！ですね。現在でも、日本や中国を考える上での大きな示唆を与えてくれている気がします。

近くにあった、雨やホコリで汚れた看板。上海での孫中山故居のある通りは香山路という名称となっています。孫文の生地（広東省の香山県）に関係があるのでしょうか？　

上海孫中山故居の公式ホームページは　こちら（中国語・英語）