ナグシェ・ラジャブ ・・・・ ササン朝前期の４つのレリーフ
| ナグシェ・ロスタムから１キロほど南（ペルセポリスの３キロほど北）にナグシェ・ラジャブ遺跡があります。この遺跡は幹線道路に面したところにありますが、整備された駐車場はなく、車は路上の奥まった所に駐めます。 ここはただ数個の小さな岩に彫られた４個のレリーフが残されているだけです。ササン朝前期の王や神官の姿が彫られています。 |
アルデシール１世の王権叙任
| アフラ・マズダ神（右）から王の環を受け取るアルデシール１世（左）。ササン朝の創立者アルデシール１世はここにも描かれています。彼がゾロアスター教を国教化しました。 |
シャープール１世の王権叙任
| このレリーフは痛みがひどく、特に顔の部分が削りとられているのでわかりにくいのですが、シャープール１世の王権叙任の場面です。ササン朝第２代皇帝、シャープール１世はアルデシール１世の長男です。 |
シャープール１世と廷臣たち
| ローマ皇帝ヴァレリアヌスを捕虜にしたシャープール１世はイラン人だけの王ではなく、非イラン人の王でもあるという意味で、「王の王」と称しました。ササン朝の支配体制は彼のもとで確立されます。 |
ゾロアスター教の神官、カルティール
| 中央公論社の『世界の歴史４ オリエント世界の発展』と山川出版社の『世界各国史９ 西アジア史Ⅱ』では、キルデールと記されています。上記二つの参考文献によると、以下のような人物です。 キルデールはシャープール１世のもとでゾロアスター教の祭司長（モーバド）になりました。キルデールはシャープール１世以下３代の王に仕え、権勢を誇りました。王たちのレリーフの中に王でもない彼自身のレリーフを造らせるほど力があったということでしょう。また、彼はユダヤ教、キリスト教、仏教、マニ教を弾圧しました。マニ教の創始者マニは西暦２７４年頃、キルデールらの進言により逮捕され、処刑されました。 |
二つのレリーフ
| 王権叙任のレリーフがふたつ並んでいます。左にアルデシール１世の王権叙任、右にシャープール１世の王権叙任です。ゾロアスター教の神官、カルティールのレリーフはこの画面のすぐ左側にあります。シャープール１世と廷臣たちのレリーフはこの後ろ側です。 |
ナグシェ・ラジャブ遺跡からあたりを眺める
| ナグシェ・ラジャブ遺跡は以上の４つのレリーフがあるだけなので、あっという間に見学は終わります。周りを見渡すと、こんな岩山だらけ。前に見えるような岩の固まりに、これまでに見た４個のレリーフが彫られています。 |
案内看板
| Naghshe（ナグシェ） という場合と、Naqshe（ナクシェ）という場合があるようですね。 ナグシェ・ロスタム ナグシェ・ラジャブ あるいは、ナクシェ・ロスタム ナクシェ・ラジャブ どうでもいいのですが、検索の際にはおおいに意味を持ちますので、命名にこだわる理由です。 Ｇｏｏｇｌｅ検索では、ナグシェの勝ちです（笑）。 |